地霊殿
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<雑記>
マネジメントと管理
明確な定義が困難な語句を説明する際には、その語句と類似した語句、混同されやすい語句、紛らわしい語句とを並列させて、その語句の意味内容を少しずつ明らかにしていくという手法を取ります。「マネジメント」という言葉も、これという定義がないためいつも説明に困るのですが、ここでは「管理」との違いを指摘しながら、私なりのマネジメント観を書いてみようと思います。
(1)管理は主として組織の内部に成果を求めるのに対し、マネジメントは第一に組織の外部に成果を求める。
管理が求める究極の結果は、「異常なし」という状態です。異常は対象物の内部にしか存在しません。組織が管理を行うとき、管理の成果は必ず組織の内部に現れます。
一方、マネジメントが求める究極の結果は、「新たな価値の創造」です。組織が生み出す価値が「新しいかどうか」を判断できるのは、組織の外部でその価値を享受する人、すなわち顧客でしかありません。この意味において、成果は組織の外部に存在していると言えます。
(2)管理は変動の抑制を第一の目的とするのに対し、マネジメントは変化と成長を当然のものと受け止める。
管理とは一定の評価基準に従って対象物に監視の目を光らせ、その基準から大きく外れるものを基準不適合とみなして排除する活動です。例えば品質管理においては、あらかじめ品質基準を定めておき、統計的な手法により対象物の品質が基準の範囲内に収まるかどうかをチェックします。管理においては「変わらないこと」が美徳とされます。
これに対して、マネジメントが前提としているのは常に姿を変える環境であり、組織が経済、技術、知識、社会、政治、思想などの変化を利用し、また自ら変化を作り出すことによって成長の方向性を模索することを勧めます。マネジメントにおいては「変わること」が美徳なのです。
(3)管理はその手法として同質のモノを画一的に取り扱うのに対し、マネジメントは価値多元主義に立脚しており、対象の多様性を歓迎する。
伝統的な生産管理においては、工程や作業の標準化を行うことが効率化の第一歩とされます。管理においては、標準を定めることが重視されます。
しかし、マネジメントにおいては多様性が前提とされ、標準は影を潜めます。戦略やマーケティングにおいては、他社あるいは他社製品と「差別化」することが有効とされます。組織の成員には一定の多様性がある方が、成員間の多角的な思考を促し、優れた思考様式を生み出しやすいとされます。
「組織が大きくなると『管理』することが必要になってきますが、それは『経営』することと同じ意味ではありません。経営とは、世の中にとって何か新しい価値を生み出すことであり、管理の目的は現状を維持することです。経営が管理に堕した時に企業の輝きは急速に色褪せていくのだと思います。」
(パイオニア会長松本冠也「管理は経営にあらず」 2004年9月27日号『日経ビジネス』)
この文章の「経営」を「マネジメント」に置き換えて読むと、マネジメントと管理の違いが端的に表現された文章になります。
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